アイスランド・グリーンランド
フェロー諸島 情報ブログ
アイスランドのミステリー
Caves of Hella

アイスランドの南部にはアイスランドの歴史上のミステリーと云われている場所があります。
それはヘットラという南部の村にあり訪れることができます。

レイキャヴィークより車で約1時間、1号線沿いのとても立ち寄りやすい場所に Caves of Hella 、ヘットラの洞窟はあります。

とある農家が代々12個もの人工的に造られた洞窟を守り続けているのですが、2019年よりその一部である4つの洞窟が一般公開されることとなりました。
現在もヘットラの洞窟は国の文化遺産保護庁の元に復元プロジェクトが進められており、今後さらに多くの洞窟を公開できるよう保存と復元に努められています。

洞窟には有料ツアーでのみ入場可能で、農家の方がご先祖から受け継いでいる話などを洞窟を巡りながら話してくれます。観光客のみならずアイスランドの人々もこの謎の洞窟に興味津々なので、土曜はアイスランド語でもツアーが行われています。
ルーン文字、ルーンシンボル、角のある存在

最初に入った洞窟の壁にはルーン文字(ゲルマン人の古い文字体系)が刻まれていました。
「Salka」という女性の名前が刻まれているのが見られます。
また他の箇所にはルーンでも文字ではなくMagic runesと云われるシンボルも刻まれているということでした。

何か角とヒゲのある動物?
いつ誰が何のために造ったのか?

南部にはこのヘットラの洞窟だけではなく、人工的に造られた洞窟が200箇所ほども点在しているということです。しかしこの農家には一箇所に多くの洞窟が密集していてとても珍しいそうです。
一体誰がいつ頃何の為に多くの洞窟を掘ったのでしょうか?
全ては依然として謎ではっきりとした事実は解明されていないのですが、少なくともこの農家の洞窟の一部は9世紀後半の北欧人による入植時代よりも前から存在していたのではないか?という見解でした。
現在も南部では考古学者のチームにより洞窟の発掘調査が進められており、この農家の近くでは写本にも記されている10世紀に造られた洞窟が見つかっています。
壁に彫られた十字架

アイスランドはノルウェーなどからの北欧人の入植よりも前に、アイルランドからのケルト人の修道士たちが来ていた説があり、9世紀後半に異教徒である北欧人がアイスランドにやって来ると、修道士たちはアイルランドに引き上げたと考えられています。

はっきりと十字架が彫られています。写真では見え難いですが十字架の上にイエスの姿もあるということでした。この洞窟には他にも十字架が刻まれていた箇所がありました。
果たして9世紀よりも前にケルト人の修道士が掘ったものなのでしょうか?

残された洞窟はその後も数世紀に渡り、住居、家畜小屋、貯蔵庫などとして使用されてきましたが、第二次大戦後、アイスランドではコンクリートによる建築が多く普及し、洞窟やターフ屋根の住居は姿を消して行きました。
映画ロード・オブ・ザ・リングではホビット達がターフ屋根の洞窟のような住居に住んでいましたねw
隠された裏歴史があるのか?

最後に農家の方が話してくださった事が印象に残っています。
それは歴史というのは主に勝者や有力者によって伝えられてきたもので、アイスランドにも語り継がれずに消された歴史があるのではないかということです。
アイスランドには英雄たちを描いた歴史物語サガが存在しますが、そういったサガに出てくるような人々以外に存在した人々がいるのかもしれません。
しかしこのような話をするとアイスランドのサガに誇りを持っている特に年配の方々には心外となるそうで、農家の方もそれほど多くは話そうとはしていませんでした。
南部ヘットラの謎の洞窟、1号線沿いをドライブされることがありましたら、立ち寄られどのように感じられるか、ご自身で確かめられてみては如何でしょうか?