アイスランド・グリーンランド
フェロー諸島 情報ブログ
エメラルドグリーンの
Helgufoss ヘルガの滝へ

レイキャヴィークを出発し、シングべトリル国立公園へ向かう途中、36号線 Thingvallavegurから1本ガタガタ道を右に入ると実はとっても素晴らしい場所に行くことができます。
旅行者の人々は通常そのまま真っ直ぐシングべトリル国立公園に向かうので、立ち寄る人はとても少ないです。

36号線 Thingvallavegurでこの標識がある砂利道を右に入るとHelgufoss = ヘルガの滝というとても美しい滝に行くことができます。
舗装されていない道なので真冬の雪が多い時はお勧めしませんが、雪が無ければ4WD車でなくても全く問題はありません :)

砂利道を少し進むとすぐに駐車場に突き当たります。駐車場は無料。
レイキャヴィーク中心部からここまで車で30分弱で来れます。
駐車場から滝までは歩いて10分程度。簡単に行けるので、お子さん連れにもお勧めです♪

道標にHelgufoss 0.6kmとあり、600メートルなので、ここから徒歩10分弱ですぐにヘルグフォスの滝に辿り着けます。
Bringurというのは保護地域になっているこの周辺エリアの名前で、
最短でヘルグフォスに向かうルートだけではなく、周囲をさらにハイキングする長いトレイルもあります。

ここが入口。ゲートは閉まっているので左側の階段部分を上ります。

馬を停めておくところ。
この辺りは農家が点在していてアイスランディック・ホースをよく見かけます。
近くのLaxness Horse Farmなどレイキャヴィークでピックアップしてもらってこの周辺で乗馬ツアーに参加することもできます。

少し歩くと右手に昔の農家跡が見えてきます。ターフハウスの農家だったのでしょう。
1856年~1966年までBringurという名の農家があり、後にこの周辺エリアがBringurという名前の保護地域になりました。
後に書きましたが、この近くに住んでいたノーベル賞作家ハルドル・ラクスネスは回顧録 Í túninu heimaに子供の頃母親とBringur農家を訪問した思い出を記しています。

そして5分ほど歩くとすぐにHelgufossの滝と大きな岩が見えてきます。

ここから滝の近くまで下って行きますが、途中までは歩きやすい階段になっています。

その後は階段は無くなり土の部分を下るので、雨や雪の日などは滑りやすいと思います。
雨の日はぬかるむと思うので、是非少なくとも雨が降っていない日に訪れることをお勧めします。

だんだんと滝に近づいてきました!エメラルドグリーンの水面が見えます。

落差12メートルの大きな滝ではないですが、水面がエメラルドグリーンで、周囲には何も無いので、まるでオアシスのような雰囲気です。

同時に大きな岩にも近づいてきました。
道標にGljúfrasteinn 2,9kmとありますが、近くにはアイスランドが誇るハルドル・ラクスネスというノーベル文学賞を受賞した作家の住居Gljúfrasteinnがあり、現在はLaxness Museumとして一般公開されています。そのハルドル・ラクスネスが生前愛犬とこの滝までよく散歩に来ていました。
ラクスネスのようにGljúfrasteinnからヘルグフォスの滝まで歩くトレイルもあります。
Gljúfrasteinn hús skáldsins fors/enska
不思議な大きな岩

この不思議な大きな岩、HelguhóllやHelgasteinn=ヘルガの石と呼ばれていて、
アイスランド語ではHuldufólk = Hidden people = 隠された、または見えない人々が住んでいると昔から伝えられています。近くにあった農家の女性はこの岩に住むHuldukona = Hidden womanと交流があったということです。
日本には御神岩や御神木がありますが、この岩も同じようなことではないかと思います。
アイスランドではHuldufólk=Hidden peopleやエルフなどと呼ばれていますが、岩に精霊が宿っていると云われていて、そのようなエルフの岩と呼ばれている岩はアイスランド中に見られます。
そういった岩には上ったりせずに、そっとしておくのが良さそうです。フェンスで岩を囲っている場所もあります。

岩の横にはこの情報看板がありました。
昔、この岩の横にはHelguselという夏季に使用する羊飼い小屋があり、搾乳したり、バターやスキールを作っていたそうです。
以前ここで結婚式を挙げた人の写真や18世紀に描かれた滝のスケッチも載っています。
また興味深いことにこのHelguselの小屋やHelguhóllの岩、Helgufossの滝のHelgu(=Helgaのという意)とは、民話に出て来るスナイフェルスネス半島に入植した巨人族と人間のハーフであるBárður Snæfellsásの娘Helgaヘルガに因んで名付けられたという説が書かれていて、その民話の中にもこの岩にHidden peopleが住んでいると書かれているということです。
民話と現実がごっちゃになってもう分かりませんw

ここからでも十分に滝を眺められますが、やはり水面まで行きたくなります!
下に降りるには足元が悪いのでお気を付けくださいませ。また雨や雪の日には下りない方が良いと思います。

滝の横にはピクニックに最適な場所がありますし、ここでしばらく休憩、寝転ぶのも最高です。

やはり水面まで近づくと、とても清々しく癒されます。この日は足だけ水につけました。

真夏には滝の左側の岩からジャンプして泳いでいる人々がいるのですが、とても楽しそうです!
ライチョウ♡

(イメージ写真)
写真には撮れませんでしたが、この日は滝の近くの斜面にライチョウのつがいを見ることができました。雄はまだ冬の真っ白な羽色で、雌は茶色っぽい夏の羽色になっていました。
雌は卵を守るため、雄よりも早く冬の白色から夏の茶色のカモフラージュ色になるそうです。
雄は雌よりも自分の方に天敵を引き付けるために、雌よりもゆっくりと白色から茶色に変わります。
アイスランドの野鳥の中で一番好きな鳥なので、見ることができて嬉しかったです。

家に帰って、アイスランド中の色々な場所で泳いでいる人の本を開いてみたところ、
なんと真冬でもヘルグフォスで泳いでいました!
さすがに真冬は厳しいので、今年の夏の天気が良い日には是非泳いでみたいと思います。
夏には滝の横の岩から滝つぼへジャンプして泳いでいる人がいるので、チャレンジしたいと思います。この夏のひとつの目標ができましたw

通常のバスツアーでは36号線 Thingvallavegurを走行し、シングべトリル国立公園に直行することが多いですが、レンタカーで行動される方は寄り道してHelgufossの滝に行かれてはいかがでしょうか?
ヘルグフォスのエメラルドグリーンにきっと心が安らぐのではないかと思います。