アイスランド・グリーンランド
フェロー諸島 情報ブログ

August 17, 2024

ロイガルヴァトン湖の地熱スパ

フォンタナ

今年の夏は雨が多かったアイスランドですが、お天気の良い日を見計らって、ゴールデンサークル内のロイガルヴァトンという村にあるフォンタナという地熱スパに行って来ました。

ロイガルヴァトンはシングべトリル国立公園より車で30分弱のところにあり、丁度シングべトリルとゲイシール間欠泉がある場所の中間に位置しています。

村にはロイガルヴァトンという村と同じ名前の湖があり、周囲にはサマーハウスが点在しています。

直訳するとLaugarvatn = Hot pool lakeという意味で、その名の通りロイガルヴァトンには温泉が湧き出ていて、古くより地熱や温泉が利用されてきました。そして2011年にLaugarvatn Fontana またはFontana Spaフォンタナスパと呼ばれる地熱スパ施設がオープンされました。


フォンタナをご紹介する前にロイガルヴァトンの歴史を少し。

ロイガルヴァトンには立ち寄らずともゴールデンサークルツアーなどで通過する際に必ずこの緑の屋根が連なった可愛らしい建物が目に入ります。


ロイガルヴァトンは素晴らしい自然に囲まれた環境の中、教育や文化の発展の場となるヴィジョンの基に1928年にこの建物であるHéraðsskólinnという学校が建てられました。そして学校を中心に村は発展してきました。

その学校の建物は2013年よりHéraðsskólinn Historical Guesthouseという宿泊施設になりましたが、現在も周囲には高等学校やアイスランド大学のスポーツ科など学校施設が運営されています。

Héraðsskólinnはハトルグリムス教会や国立劇場を設計したアイスランドが誇る建築家グズヨン・サミュエルスソンにより設計され、ノーベル賞作家のハルドル・ラクスネスは当時夏の間は宿泊施設となっていた同校に度々滞在し「独立の民」を執筆しました。

https://heradsskolinn.is/


フォンタナは大人気のブルーラグーンやスカイラグーンに比べると小さ目の施設ですが、地元の人々も来ていてゆったりとしたローカルな雰囲気が感じられます。

ゴールデンサークルのツアーによってはフォンタナへの入場が含まれているツアーもありますし、

レンタカーでゴールデンサークルを巡りながら、途中フォンタナに立ち寄る人々も多いようです。


中に入ったところのカフェテリアスペース。コロナ前まではヘルシーなランチやディナービュッフェがあったのですが、現在はスープやサンドイッチなど軽食のみが提供されています。


もししっかりとお食事されたい場合は、フォンタナのすぐお隣にLindin(=泉)という素敵なレストランがあるのでそちらがお勧めです。今回訪れた時は丁度ランチタイムとディナータイムの間の休憩時間で残念ながら閉まっていましたが、前回訪れた時はトナカイバーガーやお魚料理を頂いてとても美味しかったです。

https://www.laugarvatn.is/


さてフォンタナに戻って受付カウンターでチェックイン。

フォンタナのウェブサイトで日時を指定し事前予約/購入がお勧めですが、

当日空きがあれば受け付けで支払い入場することも可能です。(ブルーラグーンやスカイラグーンほど混んでないのが好ポイントです;)

https://www.fontana.is/


受付で更衣室のロッカーのカギとなるリストバンドを受け取った後はゲートを通り、

男女別の更衣室に入ります。写真右側が女性、左側が男性用の更衣室。

因みにフォンタナは入場料にタオルやバスローブは含まれておらず、借りる場合は別料金がかかるので、タオル持参をお勧めします。もしタオルや水着が無い場合でも1000 ISKで借りられます。


ロッカーのカギとなるリストバンドです。更衣室にはロッカーがずらっと並んでいるので、空いているロッカーを探して使用し、ロッカーのセンサーにリストバンドを当てると簡単に施錠できるようになっています。それと売店でドリンクを買うとリストバンドに登録され、

お帰りの際にお会計できるようになっています。


ここは更衣室のシャワーを浴びて水着を着た後にいよいよ外に出て来る場所です。

アイスランドの入浴方法としては、更衣室で水着を着る前に裸でシャワーを浴び、髪や体を綺麗に洗った後、水着を着ます。

フォンタナはオーガニックハーブで作られたSóleyというアイスランドのシャンプーとコンディショナー、ボディソープがシャワーに置いてあるので、持参する必要はありません:) 入浴後に使用できるボディローションも置いてありました。


外に出ると、まず目に入るのがgeothermal steam bathsと書かれた木造の小屋。

直訳すると「地熱蒸気風呂」ですが、実際には中にはお風呂があるのではなく、温泉の蒸気を直に利用した昔ながらのスチームサウナになっています。

この小屋のような建物にはスチームサウナの小部屋が3つあり、反対側にはサウナが1つあります。


反対のサウナ側から見たところ。側面に3つのスチームサウナと正面にサウナがあります。


スチームサウナの内部はカベに硫黄や鉄分が付いていてかなり年季が入っています。

スチームサウナの床下では温泉が湧いていて、その蒸気が床板の隙間から上ってくるので部屋が蒸された状態になっています。

この場所で1929年より地元の人々によりスチームサウナが利用されており、

天然の温泉の真上に造られているので、床下からはボコボコと温泉の湧く音が聞こえます。

またその日の地熱の状態や天候で内部の温度が40℃~50℃と変わるのだそうです。

温泉の蒸気と音にかなり癒されました♪


サウナの部屋はフィンランド風で新しい雰囲気。大きな窓から外の湖を見渡せます。

こちらは機械で温められていて、温度は天然のスチームサウナより高めなので、しっかり汗をかきたい人向けです。


スチームサウナやサウナ、ホットタブで火照った体をクールダウンするために湖に入るのは爽快です!この日は気温16℃位で風もなく晴天だったので、普通に湖に長く入っている人々もいました。

この階段辺りの水は冷たいですが、湖には一部温泉のお湯が流れていて温かいスポットもあります。

因みにロガルヴァトン湖の水深は一番深い箇所で2メートルほどなので深い湖ではありません。


サウナの外には湖に入るための貸し出し用マリンシューズがあるので、使いたい人は無料で借りられます。裸足でも大丈夫ですが、自分のマリンシューズやサンダルを持って来ている人達もいました。


次はこちらのホットタブをご紹介。緑の藻 Algae アルジーのミネラルが入った天然温泉です。

Hot spring algae 温泉藻というもので日本の草津温泉などにも生息しているようです。


ミネラル豊富なお湯はスチームサウナの下の温泉から直接来ていて、藻Algaeを含んでおり、ホットタブ内が滑りやすくなっているので注意とありました。(しかし特に滑りやすいとは感じませんでした)

このホットタブは38-40℃位で結構温かかったです。またもう一段温かい小さなホットタブも後ろの方にありました。

これから9月から4月頃までオーロラの季節になりますが、タイミングが合えばお湯に浸かりながらオーロラが見えることもあります。(年中21:00迄オープン)


その他温泉藻アルジーが入っていないプールのような大きなホットタブも2箇所あります。

32℃、34℃位で晴天で暖かい日でものぼせず長時間入ってリラックスできる水温でした。


お湯に浸かりながらビールなどのアルコールやノンアルコールのドリンクを飲むことができます。

写真のドリンクはKrapクラップというアイスランドで子供に人気のフローズンドリンク。


アイスランドの生ビールはGullやBoli Premiumがありました;)


建物内のカフェテリアと繋がっている窓から注文し、購入したものがリストバンドに登録されるので、ロッカーからお財布は持って来る必要はありません。


お帰りの際に出口付近で自分でスキャンし支払うようになっています。



リストバンドでゲートを開けて出た後は、カウンターにリストバンドを回収する小さなボックスがあるので、返却して終了です。

さて、今回はこの後Geothermal Bakery Experienceという地熱でパンが作られる様子を見る体験に参加しました。(別途参加費が必要) 定員に達してしまう時もあるので、予約した方が確実です。


ロビーで集合後、皆でフォンタナの建物の隣にある、この大きな温泉が湧いている辺りに歩いて行きます。

この温泉はロイガルヴァトンの中で一番大きな温泉で、村の暖房や生活に必要な熱湯の供給源となっています。


この温泉が湧いている周囲の砂地は少し掘ると100℃になっているので注意!という看板がありました。その地熱を利用して昔から蒸しパンのようなライ麦パンが作られています。


砂地に着くと、目印を付けておいた場所からスタッフの方が一生懸命シャベルでお鍋を掘り起こしてくれます。この砂地には近所の人のパンも埋まっていることがあるので、必ず自分の目印を付けておくのだそうです。


お鍋が出てきました!



シャベルでお鍋をすぐ横に湖に持って行き、地熱パンの入ったお鍋を湖で冷却します。

100℃の地熱で24時間蒸されたお鍋は熱くなっています。


その後は翌日のためにまた同じ穴に新しい生地が入ったお鍋を入れ砂で覆い、出来上がったパンは試食のためにフォンタナに持ち帰って、お待ちかねのテイスティングです♪


地熱で24時間蒸されたライ麦パンは中まできれいに蒸されていて、しっとりしているのですが、ライ麦粉を使っているので食べ応えがあります。お砂糖が使われているので甘味があり、バターの塩気ととても合います。そしてロイガルヴァトン湖で獲れたマスの燻製、スモークトラウトもすごく美味しかったです!


頂いた地熱ライ麦パンのレシピ。牛乳とお砂糖が長時間蒸されるので、キャラメルのような状態になるのだそうです。これはSiggiさんという地元の方のおばぁさんから伝わったレシピで、各家庭によって分量など微妙に異なるのだそう。さすがに地熱で蒸すのは難しいですが、ご自宅でもこのSiggiさんの地熱パンに近いのライ麦パンが作れるかもしれません!


そしてフォンタナやレストランLindinに訪れられた際には是非直ぐ横にあるVígðalaugという小さいですが、とても歴史的な温泉に立ち寄られることをお勧めします。

 西暦1000年にシングべトリルにてアイスランドがキリスト教に改宗された際に、

シングべトリルのアルシンギ議会より人々が馬に乗ってこの場所に来て、洗礼を受けたとKristni sagaに記されています。

シングべトリルにも大きな湖がありますが、人々が冷たい水で洗礼を受けるのを嫌がったので、ロイガルヴァトンのこの温泉で洗礼を受けました。


また1550年にスカゥルホルトで処刑されたヨゥン・アラソン司教とその息子達の遺体を北部ホゥラルに埋葬する前にここで洗われ、北部に運ばれたたと文献にあります。温泉の後ろにある石はその際に遺体を安置するために使用されたと云われています。


シングべトリル国立公園の地球の裂け目ギャウ。

ユーラシア側(ロイガルヴァトン寄り)の展望デッキからの眺めも素晴らしいです!

何百年もかけて成長した苔とギャウの迫力のある光景が見られます。

洗礼場所がロイガルヴァトンにあったように、シングべトリルとは近いです。


もしゴールデンサークルをゆっくりと巡られるのであれば、ロイガルヴァトンの湖畔でゆったりとローカルな雰囲気のフォンタナに訪れて頂くのもお勧めです。

夏のお天気の良い日はもちろん楽しいですし、冬には温泉に浸かりながら、オーロラが見えたら最高ですね!

https://www.fontana.is/


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