アイスランド・グリーンランド
フェロー諸島 情報ブログ
1月の祝宴 Þorrablót

アイスランドの昔の暦で今年は1月20日から2月18日が Þorri (Thorri ソーリ) という月にあたります。
そしてその時期に昔の伝統的な冬の保存食 Þorramatur (ソーラマートゥル=ソーリの食物) を人々が集ってビュッフェ形式で食べることをÞorrablót (ソーラブロゥト=ソーリの祝宴)と云います。
今の時期、各市町村や職場、祖父母の家などでこのÞorrablótというパーティのような食事会が行われています。

毎年1月、新年に入りしばらくするとスーパーではÞorramatur(ソーラマートゥル)が並び始めます。

精肉店でもÞorramaturがお目見え。
Þorramaturの種類

さてこのÞorramatur、一体どのようなものなのでしょう?
アイスランドといえば羊、なので殆どのものは羊さんの様々なパーツによるものです。
写真でも一番目を引くのが羊さんの横顔ですね。Svið(スヴィーズ)と呼ばれるものでÞorriの時期でなくてもスーパーでは1年中冷凍で売られているので、アイスランドでは食べようと思えばいつでも食べられる食材ではあります。
そしてこのÞorramaturの中にはSviðを細かく切りゼラチンで固められたSviðasulta (=Sheep-head jelly スヴィーザスルタ)があり、それをまた保存するためにホエイ(乳清)で漬けられたものもあります。
その他ホエイで漬けられたものとしてはゼラチンで固められた羊の睾丸 Hrútspungar(フルーツプンガル)やばら肉を巻いたものLundabaggi(ルンダバッギ)などがあります。
余すところなく全てを頂くということですね。

強烈な写真で申し訳ありませんが ^_^; ラムのLambasvið(ランバスヴィーズ)のほほ肉はなかなか美味しいですよ。

羊の色々なものがホエイ(乳清)に漬けられバケツに入っているセットが毎年売られています。
茹でてからホエイに漬けるので精肉メーカーでは毎年8月より仕込みが始まるそうです。

レバーのソーセージ Lyfrarpylsa(リブラールピルサ)と血のソーセージ Blóðmör(ブロウズモール)。
こちらも日頃から売っていて栄養満点の一品となっております。
ÞorramaturではこのLyfrarpylsaとBlóðmörがホエイに漬けられているものもあります。

その他美味しくて余裕で食べやすいものではスモークされたラム肉 Hangikjöt(ハンギキョット)、バターを付けて食べるタラのドライフィッシュ Harðfiskur(ハルズフィスクル)があります。

しかし羊さん以外で手強いところでは、写真の発酵されたサメ肉 Hákarl(ハウカットル)やホエイで漬けられたクジラの脂 Súr Hvalur(スールクヴァルル)があります。
ハウカットルは日本のテレビ番組でも猛臭!として何度か取り上げられたほどアンモニア臭が強く、味はブルーチーズの100倍とも言われています。
普段でもスーパーで小さな入れ物に入って売っているので、アイスランドの面白土産としていかがでしょうか?

最近では写真のようなお手軽なセットが人気だそうです。
(スモークラム、塩漬けラム、Sheep-head jelly、Sheep-head jellyのホエイ漬け、睾丸のホエイ漬け、ばら肉のホエイ漬け、胸肉のホエイ漬けの7種類が入っております。)
これらのÞorramaturを皆で食べるÞorrablót、実は歴史は古くなく1950年代にレイキャヴィークのレストランが始めたものだそうです。
マイナーになりつつあった伝統的な保存食 Þorramaturをイベント的にレストランで提供したのがアイスランド中に広まり定着したということです。
アイスランド人は家族や親類で集まるのが大好きなので、Þorrablótが広まり定着したのがよく理解できます。

最後に、Þorriの時期でなくともハトルグリムス教会の目の前にあるCafe Loki カフェ・ロキではいつでもハウカットルやSheep head jellyなどが頂けるようですよ。
アイスランドの伝統的な保存食をトライしてみたい方は是非どうぞ!
https://loki.is/