アイスランド・グリーンランド
フェロー諸島 情報ブログ
ウェストマン諸島へイマエイ島
火山ミュージアムとボートツアー

前回のウェストマン諸島ブログのGuesthouse Hóllに続き、Guesthouse Hamarにも1泊しました。このゲストハウスも町中にあり港から徒歩圏内、スーパーやレストランにも近くて便利な場所にあります。

ソファーベッドを使えば4名ほど泊まれるお部屋に3名で泊まり快適でした。
お部屋にシャワー、トイレ付で、朝食も付いていました。窓からはエルドフェットル火山とヘルガフェットル火山も見えます。

廊下などいたるところに1973年の噴火時の写真が並んでいます。
現代のポンペイ

ウェストマン諸島へイマエイ島は「現代のポンペイ」と謳われ世界的に有名になりました。
その様子をこの1973年に噴火した火山のすぐ近くにあるEldheimar Museum エルドヘイマル・ミュージアムでご覧いただけます。
1973年1月23日から7月3日まで6ヶ月近く続いた噴火では島民全員が本島へ避難しました。当時の島の人口は5300人位でしたが、現在でも外国人約400人を含め人口4300人位なのでまだ当時の数までは戻っていないことになります。

ミュージアムに入るとまずは当時の家屋の惨状がそのまま展示されています。
エルドヘイマル・ミュージアムは、実際にこの場所に建っていて噴火で埋もれてしまった家を掘り起こし、その場所にミュージアムが建てられたのです。


イヤホンガイドを通して当時の噴火の様子を学べるようになっています。

ミュージアムの2階部分はスルツエイ島に関する展示になっています。
スルツエイ島は日本の西ノ島のように1963年に海底火山の噴火により新たに誕生した島で、ユネスコの自然遺産に登録されています。
現在も研究者等以外の入島は禁止されており、新しく誕生した島に植物や動物が繁殖してゆく様子を調査する貴重な研究拠点となっています。

写真のように噴火前までは夫妻のマイホームが建っていましたが、この場所に現在も埋もれたままになっています。周囲はのどかな景色が広がっていますが、当時島に1350軒あった家屋の内417軒が溶岩に飲み込まれその多くが現在も埋もれたままになっています。

ミュージアムのすぐ裏にある1973年に噴火したEldfellエルドフェットル火山(左)と5000年前に噴火したHelgafellヘルガフェットル火山(右)。
エルドフェットル火山は1973年1月23日から噴火し、噴火の終息が発表された7月3日は現在も噴火終息を祝うお祭りが毎年島で開催されています。
島一周ボートツアー

火山ミュージアムで学んだ後はへイマエイ島をぐるっと一周するボートツアーに参加しました。今回はTeista号というボートで1時間30分ゆっくり一周するツアーに参加したのですが、
このボートツアー会社は他にRib Safariというスピードボートのツアーも行っています。
Ribsafari in Vestmannaeyjar | Ribsafari Boat Tours

海側から火山を見たり、ボートツアーでも噴火についてガイドさんが説明してくれます。

噴火時は溶岩流が島の重要な港の入り口を塞いでしまわないかどうかが一番心配されました。
ポンプで汲み上げた海水を前進する溶岩流に噴射し冷却するという作戦が行われ無事成功!海水によって溶岩は冷えて固まり、港が守られました。そして固まった溶岩流はなんと波除けの役割を果たし噴火前よりも良くなったそうです。また噴出した溶岩によって噴火前よりもへイマエイ島の面積は2割ほど大きくなりました。
噴火の前日は荒天だったため、殆どの漁船が港に着けられ待機状態だったそうです。それが功を奏し人々は迅速に本島に避難することができました。殆どの島民が漁船で避難し、そして滑走路は無事だったので、船での避難が難しい高齢者や病院患者は飛行機で避難をしました。噴火が始まってから6時間のうちに、約5300名の島民が安全にアイスランド本土に避難できたのは本当に奇跡的な事でした。

ここは1984年冬の海で海難事故にあった漁船から一人の屈強な漁師が6時間泳ぎ辿り着いた場所。その後男性は溶岩台地の上を歩き助けを求めた痛ましい出来事についてもガイドさんが話してくれました。
アイスランドではとても有名な話で、この実話はDjúpið = The Deepという映画作品になっています。ご興味のある方は是非ご覧頂ければと思います。男性は現在も港でお仕事をされているそうです。
Djúpið - "The Making of the Film" | IMDb
The Deep (2012 film) - Wikipedia

前日に行ったパフィンを見る小屋も海上から見ることができました。パフィンは周囲に飛んでいたり、海上に沢山浮かんでいたりしたのですが、あしからず近くでは写真に撮れず。。

そしてエレファントロック!今回この象さん岩が見たくてボートツアーに参加したようなものです。
本当に巨大な象のようでした。
島のゴルフコースからも見えるのですが、一番はやはりボートツアーに参加するとよく見えます。

角度によっては2頭の象のようにも見えます。

そしてツアーの最後の方にはこの綺麗な洞窟でガイドさんが洞窟内の反響を利用してアイスランド語の歌を歌ってくださいました♪とても素敵でした!

ボートはまた同じ港に戻って来てツアー終了となります。
へイマエイ島のみならずウェストマン諸島を成す周囲の小島も見ることができ、とても良いボートツアーでした。エレファントロックも見えますし、天候が良ければ是非おすすめのボートツアーです。
港に建つ黒いスターヴ教会

港の入り口に建っている木造のスターヴ教会 Stave church。
港まで流れた溶岩流のある辺りに建てられていて、ボートからも見えました。
教会といえば白系の建物が多いですが、スターヴ教会は木材を守るためタールが塗られていて、黒い色の格好良い教会です。
丁度西暦1000年にアイスランドはキリスト教に改宗されたのですが、当時へイマエイ島にはその少し前にノルウェー王の使者たちにより最初の教会が建てられました。
そして改宗から1000年後の2000年に再度ノルウェーよりこのスターヴ教会が寄贈され建立されました。

スターヴ教会のすぐ横には1251年から現在に至るまで海難事故で命を失った方々を追悼する記念碑が建っていました。一人ひとりの名前が綴られHetjur hafsins =海の英雄と称えられています。

溶岩流で破壊された貯水槽。現在も港に残されています。

最後にウェストマン諸島名物 Sprangan スプランガンをするのに並ぶ子供たち。
スプランガンとは崖に垂らされたロープにぶら下がり岩壁を蹴って大きくスウィングする遊びで(真剣にやると結構危険です^_^;)、元は崖にある海鳥の巣から卵を獲るための練習だったのですが、現在は主に子供達が順番にぶら下がって遊んでいます。へイマエイ島に来た時には一度はやらなくてはならないと言われていますw 島に訪れて頂いた際には是非チャレンジしてみてください!

ウェストマン諸島の観光協会がSNSなどでPRを頑張っているのと、今夏は天候が良かったので島を訪れる旅行者が増え、今年はヘルヨルブルフェリーの乗船者数が過去最多だったそうです!
溶岩があり特に天候の良い日にはミニミニハワイのような雰囲気やエネルギーが感じられるへイマエイ島。
アイスランドという島国の中のさらなる島に訪れて頂くのは如何でしょうか?
Visit Vestmannaeyjar - Visit Westman islands