アイスランド・グリーンランド
フェロー諸島 情報ブログ

August 17, 2025

フェリーに乗って

ウェストマン諸島へイマエイ島へ

レイキャヴィークから南部へ車で2時間弱、セリヤランズフォスという滝近くの港からフェリーに乗ってウェストマン諸島のへイマエイ島に行くことができます。

フェリーに乗らなくてはならないので、へイマエイ島を訪れる日本からのお客様はまだまだ少ないですが、とても穴場的な場所なのでご紹介させて頂きたいと思います。これからもっと日本からのお客様に是非訪れて頂きたい場所です。


セリヤランズフォスの滝を左手に、右折し海側にあるランドエイヤルホフンLandeyjarhöfn という港からヘルヨゥルブル Herjólfurというフェリーに乗ってウェストマン諸島のへイマエイ島に渡ります。フェリーの所要時間は35分ほど。

天候が良ければ船酔いすることもなく、あっと言う間に島に到着します。

フェリーの本数は一日に何本もあるので、島で泊まらずに本島から日帰りで行くことも可能です。


フェリーHerjólfur ヘルヨゥルブル

フェリーでの旅、ワクワクします!

チケット購入などヘルヨゥルブル号フェリーのHP

Herjólfur

因みにヘルヨゥルブルとはへイマエイ島に最初に定住したと云われている9世紀ヴァイキング時代の入植者Herjólfur Bárðarsonから名付けられました。


車は港の駐車場に無料で置いておくことができますが、今回は島内で車を使うため車もフェリーに乗せて向かいました。車はフェリーの地下駐車スペースに自分で乗り込み駐車します。

車を積み込む料金は乗用車の大きさにより片道3750-5000 ISKほど。キャンピングカーなど大きな車両はもう少し高くなります。大人のフェリー料金は片道2500 ISK、子供12-15才 1250 ISK、11才以下は無料となっています。


フェリー内のカフェテリア。案外色々と売っています。


サンドイッチやハンバーガーセットも売っています。35分であっという間に到着しますが、フェリーの中で食べるのもまた楽しいです♪


フェリー内には十分に席はありますが天気が良ければ甲板のベンチで過ごすのも気持ちが良いです。


しばらくすると霧の中から段々と島々が見えてきました。

ウェストマン諸島は唯一人々が住んでいるへイマエイ島(人口約4500人)を含め15の島と30の岩礁から成っています。

1973年にへイマエイ島の火山が噴火し島民全員が本島へ避難したことで有名ですし、

また日本の西ノ島のように、1963年に海底火山が噴火したことによりスルツエイ島という新しい島が誕生したことでも知られています。スルツエイ島は2008年にユネスコの自然遺産に登録されました。


島の入江にある港に船が入って行く時は霧がかかっていてとても神秘的で、まるで映画のようでした。その昔ヴァイキング船が島に近づいた時もこのような雰囲気だったのかなと想像に駆られました。


奥に見える港近くにある Heimaklettur = Home Rockという岩山はウェストマン諸島の中で一番高く、海抜283m。ランドマーク的な存在です。

そして地質学的に一番古く約1万3千年前の氷河期に氷河の下で形成された火山ということです。

かなり急勾配ですが、ハイキングで登っている人々も遠目に見えました。


歴史的にはヴァイキング時代の最初の入植者インゴゥルブル・アルナルソンが弟分ヒョルレイブルを殺害し島に逃げた奴隷たちを追い詰め、敵を取った場所としても知られています。

その奴隷たちはアイルランド人で、当時アイルランド人はウェストマン(ノルウェーから見て西側の人々)と呼ばれていたので「Vestmannaeyjar ヴェストマンナエイヤル=アイルランド人の島々」と名付けられました。


そしてへイマエイ島と言えば漁業。港には多くの漁船が停まっていました。

ウェストマン諸島は豊かな漁場に近くアイスランドで最大の漁獲量を誇っています。

もう10年位前だと思いますが、マグロが獲れていた時があり日本の築地にチャーター便で送られていました。現在も多くの魚が獲られ日本へ輸出されているので、日本と縁がある島とも言えます。


実は今回ウェストマン諸島を訪れた理由は娘のサッカー大会のサポートのためでした。

ですので、ゆったりと過ごせた訳ではなかったのですが、合間にざっと見ることができた場所などをご紹介できたらと思います。



1627年7月16日海賊が島を襲撃


サッカー場の周囲の素晴らしい景色に圧倒されますが、教えてもらったサッカー場のすぐ近くにあるとある場所についても驚きました。


へイマエイ島の歴史の中で噴火とは別にとても悲惨な出来事がありました。

1627年7月16日、オスマン帝国領アルジェリアからバルバリア海賊を乗せた3艘の船がへイマエイ島に襲来し、当時の島民の約半数242人が誘拐されてしまいました。また36人のが人々が島で殺害されました。

海賊により誘拐された人々はアルジェリアの奴隷マーケットで売られ、長い年月を経てデンマーク王により買い戻された人々もいますが、大半の人々は島には戻れず異国の地で生涯を終えました。

(温暖な国で暮らし極寒のアイスランドに戻りたくなかった人々もいたとか!)

また文献によると病気で亡くなった人々も多く、良い主人に買われ良い扱いを受けた人々もいれば、悲惨な環境下で過酷な労働を強いられた人々もいたということです。


バルバリア海賊はその他レイキャネス半島のグリンダヴィークや東フィヨルドも襲撃しアイスランド人をさらっていきました。


当時の海賊の襲撃にまつわる場所が島内にいくつかあるようで、サッカー場近くにあったこの写真の場所は隙間の中が洞穴になっていて、多くの人々が逃げ込み身を潜めたことからThe Cave of Hundredと名付けられていました。


襲撃は3日間に渡り続き、多くの人々が逃げ込んだThe Cave of Hundred= Hundraðmannahellir

一緒に洞穴にかくまっていた犬が鳴いてしまったため海賊に見つかってしまったという。

洞穴は長い年月を経て埋もれてしまい今では小さな隙間があるのみです。

教えてもらわなかったらなかなか気付かないかと思います。


Guesthouse Hóll

歴史のある家で宿泊

ここで今回最初に泊まったお宿 Guesthouse Hóllをご紹介。

1913年に建てられたお家で元は牧師さんファミリーが住んでいたそうです。

1973年の噴火では火山灰には埋もれましたが、近くまで迫っていた溶岩からは幸い免れ、現在も町の中に建っています。

ちょっとユニークな宿に泊まりたい方は是非お勧めです。


Guesthouse Hóllはレインボーストリート、ではなくレインボー階段のすぐ横にあります。

港から徒歩圏内でスーパーのBónusやKrónan、レストランも近くとても便利な場所にあります。


今回は建物の正面玄関ではなく裏側の入り口から入る204号室のお部屋に泊まりました。

スタッフは常駐しておらず、エアビーのようにキーボックスの鍵でセルフチェックインするタイプの宿です。


今回料理はしませんでしたが、お部屋にはキレイなキッチンが付いていました。


シャワーとトイレは地下階にあり、共同でしたが宿泊客が少なかったので、気兼ねなく使うことができました。


そしてベッドにはメッセージカードがあり、まだ外観の改装工事が進んでいないので、という事で近所のビール醸造所 Brothers Breweryのクラフトビールのプレゼントが冷蔵庫に入っていました。

確かに古いトタンの外観には少々驚くかもしれませんが、お部屋は既にリノベ済みでとても綺麗で快適でした。

1973年に噴火したエルドフェットル火山に因んだビール Eldfell。もちろん美味しく頂きました!


島のレストラン情報

今回は夕方から娘のサッカーチームのお手伝い等であまり時間がなかったので、宿の近くで予約なしで座れたGOTTというレストランでさっと夕食を済ませました。

本日のお魚オオカミウオを頂きましたが、とても美味しかったです。レストランのすぐ隣にあるBrothers Breweryビール醸造所の爽やかな夏のクラフトビールも一緒に頂きました。

en | GOTT Vestmannaeyjar | Restaurant Westman Islands


GOTTレストランで頂いたり、ゲストハウスからのプレゼントで頂いたEldfellビールを作っているビール醸造所 Brothers Brewery。GOTTレストランのすぐ近くにあります。

https://tbb.is/


ウェストマン諸島で人気のレストランと言えば SLIPPURINN

夏期のみの営業でとても人気なので要予約です。

SLIPURINNはへイマエイ島出身のシェフと漁師の父親の家族によって、

30年以上閉鎖されていた造船所の機械工場のMAGNIという建物に2012年にオープンされました。

ENGLISH — SLIPPURINN


SLIPPURINNの向かいにある姉妹店 Næs ナイス。

SLIPPURINNより小さ目なレストランでカジュアル、こちらも夏期のみ営業で人気なので要予約。

næs vestmannaeyjar


ミールダルス氷河が近い!

何気なく歩いていた時、目を疑うほどミールダルスヨークトルがすごく近く見えて驚きました。

写真は1973年に噴火したEldfell エルドフェットル火山の後ろに見える本島南部のミールダルスヨークトル氷河。


住宅街の合間から見える本島のミールダルスヨークトル氷河。

ウェストマン諸島は本島の南海岸から一番近い所で約10 kmしか離れていなく、とても近いことを実感しました。

島民の方々には当たり前でしょうが、自宅の窓から氷河が見えるなんて素敵ですね。


パフィン、遠目には沢山いました

ウェストマン諸島はパフィン(ニシツノメドリ)の世界最大のコロニーがあることでも有名です。

地元の人にストゥルホブジ Stórhofðiという岬にあるパフィンを観察する小屋がある所に、

昼間ではなく、深夜に行くことを勧められました。天気の良い日の昼間はパフィン達は海上にいて、間近では見えないので、巣に戻ってくる深夜がベストとのこと。

夏は深夜でも白夜で明るいので岬に行くには安全です。


またストゥルホブジ Stórhofðiはヨーロッパの中でも1番か2番に風が強い場所ということで知られています。てっぺん付近には1906年に建てられた古い灯台が建っています。


勧められたにも関わらず深夜には行かなかったので、案の定夕方はまだ海上にいたり、遠目に飛び交う姿は見えたのですが間近ではパフィンは見えず。。


このように曇りや雨の日はあまり海上には出ず崖にいるので、パフィンウォッチングには適しています。


100年以上続く野外音楽フェス

そしてウェストマン諸島と言えば、8月の最初の週末に開催されるショゥズハウティズ Þjóðhátíðという野外音楽フェスが有名です。1874年からもう100年以上も続いているHerjólfsdalurという谷で開催される音楽フェスで、このフェスに参加しようとアイスランド中から人々が集まります。

しかし嵐に見舞われることも多々あり(今年も昨年も一部嵐)、それでもアイスランド人の若者は体育館にテントごと避難しながらも、このイベントを楽しんでいます。

ウェストマン諸島の人々は歌う事が大好きで本島よりも陽気な人々が多いと言われています。


Herjólfsdalur = ヘルヨゥルブルの谷

上まで登ることができますが、知人は怖くて途中でギブアップしたそう。


この野外フェスが開催されているヘルヨゥルブルの谷は9世紀のヴァイキング時代、初期の入植者ヘルヨゥルブルのロングハウスの遺跡が見つかっており、またそれよりも前に8世紀か7世紀に人々が居たらしい形跡も見つかっています。

今回は時間が無く入りませんでしたが、谷にはヘルヨゥルブルの石でできたロングハウスのレプリカが建っていて、中にはヘルヨゥルブルとその家族たちの蝋人形があり当時の生活を垣間見れるようになっています。(有料)

The Viking Town from the year 900

Herjólfur ヘルヨゥルブルはフェリーの名前にもなっていますし、近くのサッカースタジアムもHerjólfshöllinという名前です。


しかしこのViking TownのHPの情報によると、ヘルヨゥルブルは決して親切な人ではなかったようです。この谷には唯一湧き水があり、谷の所有者だったヘルヨゥルブルはその水を島民に無料では分け与えずに、水を売っていたそうです。ヴァイキング時代から水ビジネスを行っていたとは!


以上、今回はウェストマン諸島の基本的な情報を交えながらざっとご紹介させて頂きました。

次回はさらに観光で訪れて頂ける場所をご紹介させて頂きます。

今後ウェストマン諸島を訪れて頂ける日本人のお客様が増えますように!

Visit Vestmannaeyjar - Visit Westman islands



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